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  1. 15.6.16 バレエの撮り方

バレエの撮り方

当スタジオの写真は、本番の舞台は雑誌などで活躍するプロカメラマンに撮っていただいていますが、普段の練習などの写真は私の夫が撮影しています。皆さんの姿をより鮮やかに残すために、日本舞台写真家協会のセミナーに夫に行ってもらいました。以下、夫からの報告です。

バレエを撮るのは難しい

バレエを撮るのは本当に難しい。妻に撮影を頼まれる度に、いつもそう思います。では、なぜそんなにバレエ撮影は難しいのか。それは「暗いから」「速いから」の2つに尽きると私は思います。

暗くて速いと、なぜ撮るのが難しいのかを簡単に説明すると、カメラというのは「光を集める機械」だからです。世界一明るいライトである太陽の下で、風景などの動かないものを撮るーー。これがカメラにとって最も「条件の良い」状態。光がふんだんにあるし、撮影対象も動かないので、携帯電話のカメラでも美しい写真を簡単に撮ることができます。

では、一方のバレエはどうか。当たり前ですが、バレエは太陽の下ではなく、屋内で行われるもの。もちろん照明はありますが、太陽に比べれば圧倒的に暗い。それに加えて、動きの早さはスポーツと同等。わかりやすい例を挙げれば、お誕生日のケーキのろうそくの火を消すシーンを想像してください。暗過ぎて何度シャッターを切っても、ブレた写真ばかりになってしまった経験がないでしょうか。バレエはそれにとても似ています。撮りたい一瞬をとらえるのは、本当に難しいのです。

講師は瀬戸秀美さん

このように、バレエを撮るのは難しいためでしょうか、中野のケンコー・トキナー本社であった公開セミナー「バレエ その瞬間を撮る」には、定員を上回るたくさんの方がいらしていました。

講師は日本のバレエ撮影の第一人者である瀬戸秀美さん。ダンスマガジンの表紙などをいつも撮られているので、ほとんどの方が瀬戸さんの写真を目にしたことがあると思います。

セミナーの内容は、撮影機材の詳細や撮影方法、広いホールの端からいかに美しい写真を撮るかの苦労話など幅広いものでした。通称「金魚鉢」と呼ばれる、ホール最後方の撮影室から舞台までは、50m以上ある場合もあるそう。光を沢山集めることができる「バスーカ砲」のようなレンズを使っても、撮影は困難を極めます。白鳥の湖やジゼルの2幕のような、薄暗く、ライトの色味の偏った難しいシーンをどのように撮影しているのかを、丁寧に説明していただきました。

呼吸と音楽を感じて撮る

特に印象的だったのは「撮影者は素晴らしい踊りを見ても冷静に」「ダンサーの呼吸と音楽をレンズを通して感じて」「呼吸を感じるために可能な限りダンサーに近づいて」という言葉。私も今後の撮影では、これらをこころがけ、みなさんの一瞬を少しでも鮮やかに切り取りたいと思っています。